愛したことを忘れる日まで僕は僕の道を
休日、着なくなった服や靴、諸々をリサイクルショップに出しにいってきた。
その中に俺にとっては処分するのにものすごい決断が必要だったものがあって。
ただ手元に残しておいてももう何の存在意義も持たなくなってしまったそれを俺が持ち続ける意味はない。
だから決心した。
店員はマニュアル通りの接客で買い取りを進めていく。そこには感情は介入していない。
「ここにサインを戴いた時点でもうお返しすることは出来ませんが宜しいでしょうか?」
無機質に聞いてくる。
ほんの一瞬、躊躇する自分がいた。
最終宣告。
頷く。
なぜか心が傷んだ。
俺はそれがいくらになるかなんてどうだってよくて、ただこれでケジメつくな。なんて思ってた。
それを左手の薬指にはめていた頃の記憶は今、ちょっとずつ色褪せてきている。
きっとあの人は今、幸せになっている。
俺も今、幸せになるために前を向いている。
・・・だから。
ありがとう。
さよなら。